レシピが語る嗜好の変化

レシピを見ると、ピリ辛味の人気など、新しい嗜好の変化が見受けられるようになりました。ピリ辛ブームは、焼き肉のタレやソース味の食品、漬け物やスナック菓子などによって火がつき、今日に及んでいます。ピリ辛の味付けのレシピは、昔、肉の保存性を高めたり、魚の臭みを消したりするために導入されてきました。しかし、今では、そんな目的でレシピに香辛料を添加するということはありません。通常の料理では無害なビタミンEなどを酸化防止剤として使うなど、保存料も工夫されるようになってきたため、レシピにピリ辛の要素を取り入れる場合は、消費者の嗜好に応えるためです。

レシピは、その時々の時代によって変化します。戦後直後は甘いものに餓えたひとが多かったために、甘い味付けが好まれました。その後、次第に甘いもの離れが進み、清涼飲料水なども甘さを控えたレシピで作られるようになっています。酸味と甘さを調整することが課題になっています。また、生活習慣病への関心の高まりから、塩辛い味付けよりも、ピリ辛の味付けのほうが好まれるようになったのです。実際に、香辛料の辛さをレシピに適度に加えることでレシピでも塩分の量を少なめにすることができるようになっています。

レシピは、初めは健康上の理由であっても、次第に味の工夫をすすめることで、次第にその味に慣れて、消費者の味の嗜好も変わってくるものです。塩分を控えめにしたレシピをもとにしてつくられた料理に慣れてしまうと、通常の塩分の食品がとても塩辛く感じられてしまうものです。「おいしい」と感じられる味の規準がヘルシー志向のなかで次第に変わってきて、味の嗜好として定着していくのです。清涼飲料水も甘さが控えめのものが増えてくるなかで、家庭でつくる手作りジュースなどのレシピも次第に甘さ控えめになっています。

レシピを急激に変化させると気づかれてしまい、まずいといわれてしまいますが、塩分控えめ、甘さ控えめをじょじょに進めていくと、ほとんど気づかれることなく、味になれていくものです。現在では、外食産業でも、病院食、学校給食でも、甘さ控えめ、塩分控えめが定着しているために、次第に味の規準が変わり、レシピも変化しているようです。

レシピの歴史を研究している人がカレーやチキンライス、ハンバーグなど子どもが好み、家庭でよくつくられるメニューのレシピを30年前と現在で比較したところ、現在のレシピでは、圧倒的に塩分が少なくなっていることが判明しているといいます。